経済政策 イギリス病:教訓と現代社会への示唆
- イギリス病とは1960年代以降、イギリスは深刻な経済と社会の停滞に悩まされました。これを「イギリス病」と呼びます。皮肉なことに、この停滞は、国民生活の安定を目指した政策の結果でもありました。当時のイギリスは、「ゆりかごから墓場まで」と称される充実した社会保障制度を誇っていました。これは国民にとって大きな安心をもたらす一方、勤労意欲の低下という思わぬ副作用を生み出しました。人々は、懸命に働かなくても生活が保障されているため、向上心が薄れてしまったのです。さらに、イギリス政府は基幹産業の国有化を進めました。これは、国民に平等に利益を分配するという理想に基づいた政策でしたが、競争原理の低下を招き、産業の国際競争力を弱体化させる結果となりました。企業は、競争相手がいないため、技術革新や効率化に取り組む必要がなくなり、活力を失っていったのです。このように、イギリス病は、社会保障の充実と経済成長のバランスを見誤った政策が生み出した、不幸な結末と言えるでしょう。社会保障は国民生活にとって重要ですが、それが過剰になると経済の活力を奪い、結果として国民生活にも悪影響を及ぼすことを、イギリス病は如実に示しています。
