投資戦略 暗号資産とテール・イベント:歴史から学ぶリスク管理
「テール・イベント」とは、滅多に起こらないものの、ひとたび起こると甚大な影響を及ぼす出来事を指します。これは、確率分布で表すと、発生確率は極めて低いものの、無視できないインパクトを持つ「裾野」の部分に位置付けられます。金融市場においては、過去に「テール・イベント」が何度か発生しており、その度に市場に大きな混乱をもたらしてきました。例えば、1990年代後半に起きたロシア通貨危機は、まさに「テール・イベント」の一つと言えるでしょう。当時のロシアは、財政赤字の拡大や対外債務の増大といった問題を抱えていましたが、多くの市場関係者は、ロシア政府がデフォルト(債務不履行)に陥る事態は避けられると予想していました。しかし、蓋を開けてみると、ロシア政府は債務の支払いを停止し、ルーブルは暴落。世界経済に大きな衝撃が走りました。また、2008年のリーマン・ショックも、「テール・イベント」の典型例です。当時のアメリカでは、住宅価格の高騰を背景に、サブプライムローンと呼ばれる、信用力の低い借り入れ者向けの住宅ローンが広く普及していました。しかし、住宅バブルの崩壊とともに、サブプライムローンが焦げ付き始め、多くの大手金融機関が経営危機に陥りました。そして、アメリカ政府による救済策にもかかわらず、投資銀行のリーマン・ブラザーズが破綻。これをきっかけに、世界的な金融危機に発展しました。このように、「テール・イベント」は、いつ、どのような形で起こるか予測が非常に困難です。しかし、ひとたび発生すると、私たちの社会や経済に計り知れない影響を与える可能性があります。
